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【事例】セールスプロモーション(SP)におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

公開日 2021.05.31 更新日 2023.10.31

「データを活かしたSPを行いたい」
「セールスプロモーションをより良いものにしたいが横文字はよくわからない」

という悩みはありませんか?

この記事では、マーケターや営業・経営企画を行っている方向けに、以下のような内容を詳しく解説しています。

  • SPにおけるDXとはどのようなことを指すのか
  • SPをDXすることで得られるメリットとは
  • SPをDXした具体的な事例

このほか、SPをDXする際のポイントなども解説しているので、自社の業績をアップさせたいのであればぜひご一読ください。

SP(セールスプロモーション)におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは

  1. SP(セールスプロモーション)とは
  2. DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
  3. SPにおけるDXとは
  4. SPをDXする6つのメリット

ここから、上記の順にSPにおけるDXについて解説します。

SP(セールスプロモーション)とは

SP(セールスプロモーション)とは

Sales Promotion(セールスプロモーション)の略。「販売促進」と言い、マーケティングのなかでもユーザーの購買意欲を引き出すための活動を指す。

SPの目的は、ターゲットユーザーに商品・サービスを知ってもらい購入につなげることです。

そのため、ユーザーに「サービスを使いたい」「商品を購入したい」と感じてもらう施策が必要になります。

以下の記事でSPについてより詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。​​​​​​​

>>【初心者向け】セールスプロモーション(SP)の種類&活用例を完全ガイド

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略。

主にデータやIT技術、デジタル技術を活用し、製品・サービスやビジネスモデルなどをよりよいものに変革していくこと。

デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)では、DXの定義が次のように定められています。​​​​​​​

─────────────────────────────────

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

出典:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver.1.0|平成30年12月 経済産業省

─────────────────────────────────

​​​​​​​具体的には、以下のような事例が挙げられます。

  • 口頭で注文を取っていた飲食店がタブレット端末での注文システムを導入し、人件費を削減した
  • 金融機関がテキストデータ分析技術を導入し、ユーザーの声を効率的に要約・分析して業務に活かした
  • 企業が請求書Web送付システムを導入し、自社・取引先双方の請求書確認スピードを迅速化するとともに作成・保管コストを抑制した

上記の事例のように、デジタル技術を利用して自社の業務・ユーザー体験などを幅広く変革し、業務品質を向上させることがDXの主な目的です。

SPにおけるDXとは

SPをDXするとは
  • 今まで手動で行っていた業務をデジタル化して行うこと
  • アナログ媒体からデジタル媒体へ移行すること

SPにおけるDXとは、上記のようにこれまで行ってきた販売促進のノウハウをデジタル技術を活用してすすめることです。

下記に、消費者・企業それぞれの立場で具体例をあげてみます。

立場具体例
消費者側から見た場合・店舗に掲載するPOPをデジタル化
・リサーチにAIを用いてデジタル化
・プロモーションをチラシ・雑誌などからSNS・Webメディアなどに変更
企業側から見た場合・受発注システムを電話・FAXなどからデジタル化
・工程管理や在庫管理をデジタル化

このようにデジタル技術を活用した場合、新たなセールスプロモーションのアプローチができるようになります。

SPをDXする6つのメリット

ここからは、SPをDXすることで得られるメリットを6つご紹介します。

  1. 業務効率化によるコスト削減
  2. これまでの業務フローの課題発見
  3. 新たな市場開拓
  4. 新商品や新サービスの開発のきっかけづくり
  5. 事業継続計画(BCP)対策
  6. 1が1で終わらない

業務効率化によるコスト削減

DXは、業務の効率化により時間や人件費などのコスト削減が可能です。

複数の工程を一括で管理したり、人の手で入力していた情報を自動で入力できるようになったりするためです。

また、ペーパーレス等、備品を使用しない形にシフトできれば、それらにかかる経費も削減できるでしょう。

これまでの業務フローの課題発見

DXを進めることで、これまでの業務フローに隠れている課題の発見につながることもあります。DXする場合、DXできる工程の明確化が必要です。

工程の明確化にあたり、これまで良しとされていた業務フローでも課題が見つかるかもしれません。

業務フロー自体を見直し、DXせずとも業務効率化につながる可能性もあります。

新たな市場開拓

SPのDXで業務効率が向上すれば、新たなリソースが生まれ今まで触れられていなかった市場を開拓できる可能性があります。

業務が煩雑で手が回っていなかった市場や、参入ハードルが高く費用対効果が低いと感じられていた市場も、SPをDXすることで参入が可能になるかもしれません。

今まで参入を控えていた市場があれば、DXを機に参入を考えてみることもできるでしょう。まったく新しい市場の開拓も行える余地が出てくるかもしれません。

新商品や新サービスの開発のきっかけづくり

SPをDXすることは、業務を今までとは違う方法で行うということです。その結果、従来の方法では見えてこなかった顧客のニーズが見えることもあるでしょう。

この発見は、新商品・新サービス開発のきっかけとなるかもしれません。

従来の方法から新たな方法に変更することで見えてくるものを、「チャンス」としてとらえることが大切です。

事業継続計画(BCP)対策

BCP(事業継続計画)とは

企業が自然災害や大火災などの緊急事態に対して、被害を最小限に抑え、事業の継続を可能とするために対策などを取り決めておく計画のこと。

事業継続計画(BCP)対策としても、SPをDXすることは非常に有効です。

DXを行うことで、「インターネットにつながっていればいつでもどこからでも業務を実行できる環境」を整えやすくなります。

その結果、「業務を行う場所・時間を問わない」といったことが可能になるでしょう。また、DX後のノウハウやデータは参照しやすい状態で蓄積されていきます。

つまり、担当者の変更があった場合や会社が出社できない状態になった場合でも、いつでも情報にアクセスするできるようになります。

これらは問題が発生した際に事業を継続するために重要なポイントだと言えるでしょう。

1が1で終わらない

SPをDXすることで、単純に「セールスプロモーションを行った」という事実以上のものを得られるようになります。

DXした環境で行ったSPは、その手順や方法、結果、改善点などをすべてわかりやすく蓄積していくことが可能です。

それらを次回のSPに活かすことで、単純に「セールスプロモーションを行った」というだけではない利益を得られるでしょう。

また、ここまで説明したように「過去のノウハウの課題発見につながる」「新たな市場開拓や新サービス開発のきっかけとなる」といったことも考えられます。

SPを行った結果以外にも多くのものを得られるのが、SPのDXなのです。

セールスプロモーションのDX事例5選

  1. 顧客の情報管理をデジタル化し、消費者と密なコミュニケーションを取る
  2. 無人化店舗により、コスト削減やスムーズな店舗データ分析を実現
  3. 年間2万1,000時間を削減!iPadを活用して書類サイン・押印などを簡略化
  4. デジタルサイネージにAIを導入しユーザーに合わせた広告を配信
  5. 多くの手作業を自動化し、スタッフのリソースを新たな価値創出へ

ここからは、SPをDXした事例を紹介します。

1.顧客の情報管理をデジタル化し、消費者と密なコミュニケーションを取る

概要「顧客とコミュニケーションを取る環境がない」「自社商品を購入しているユーザー像が把握できていない」といった課題があった。
課題解決のためCRM(顧客管理システム)を導入し、顧客管理をDXした。
結果ユーザーのSNSアカウントや会員制サイトの灯籠情報を元にユーザー像を分析可能に。
顧客中心のビジネス展開が実現できた。

顧客とのコミュニケーションをDXした事例です。CRMツール(顧客管理システム)を導入して、顧客管理をデジタル化。

同時に、CRMを最大限活用したコミュニケーションを行うことで、ユーザーの行動やニーズを具体的にとらえられるようになり、より効果的な施策を実行できるようになったそうです。

キャンペーンをDX

店頭でのキャンペーンからデジタルキャンペーンに移行することで、こちらもさまざまなユーザーの情報を得られます。

キャンペーンの参加条件に「会員登録」「SNSアカウントのフォロー」などを設定することで、ユーザーの情報を集めることが可能です。

集めたユーザーの情報を元に、より効果的なSPを行うことができます。

会員制サイトでのユーザー分析をDX

会員制サイトを作成し、ユーザー情報を登録してもらうことでよりニーズを満たす施策を行うことが可能に。

会員限定でクーポンを配信したり、イベントを行ったりすることによりユーザーのロイヤリティを向上できます。自社のブランディングにもつながるでしょう。

SPをDXすることで、ユーザーの情報を得られるとともにユーザーの行動を追えるようになり、顧客中心のビジネスを展開できるようになったそうです。

2.無人化店舗により、コスト削減やスムーズな店舗データ分析を実現

概要最新のテクノロジーを使用した店舗システムの実証実験を実施。
顔認証ソリューション、重量センサーなどを活用した小売店舗をオープンした。
結果ユーザーは手ぶらで気軽にスムーズな購入体験を得られる
店舗側はユーザーの決済業務に割く労働力が削減されるうえ、多様なデータを取得でき、経営に活かすことが可能

複数のカメラとセンサーを使用し、小売店での決済等の一部ユーザー対応をDXした事例です。

店舗側はユーザーに関するさまざまな情報を取得できるほか、決済までを自動化できるため人件費や労力を削減し、商品説明などの接客に注力できるというメリットがあります。

ユーザー側にも、「手ぶらで買い物ができる」「スムーズな購入・決済ができる」といったメリットが生まれています。

ユーザー側が必要な作業は以下のとおりです。

  1. 個人情報・顔登録(初回のみ)
  2. 顔認証で入店
  3. 棚の前に立ち、商品を手に取る
  4. 顔認証で決済

これらの簡単な作業のみで、一度も財布などを手にすることなく、商品の購入が行えます。

店舗側が確認できるデータは以下の15種類。非常に多くのデータが取得できます。

  1. 棚モニター
  2. 売上金額
  3. 平均購入金額
  4. 購入者性別
  5. 購入者年齢
  6. 購入者表情
  7. 入店者数
  8. 店舗CVR/目標CVR
  9. 売上金額トップ5
  10. 売上個数トップ5
  11. 商品ごとの分析
  12. 棚ヒートマップ
  13. 店舗ヒートマップ
  14. 下限警告
  15. 持ち去り警告

分析データを元に商品配置や仕入れ内容を最適化したり、ターゲット層を見直したりなど、あらゆる面からマーケティング改善を行うことができます。

無人店舗については下記でまとめています。事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

>>【事例紹介】無人店舗におけるセールスプロモーションのコツ総まとめ

3.年間2万1,000時間を削減!iPadを活用して書類サイン・押印などを簡略化

概要銀行業界における一歩踏み込んだDX事例。
営業スタッフがiPad ProとApple Pencilを持ち、電子サイン・CRMシステムを訪問先でも活用することで商品提案から約定手続きまでを訪問先で実行できる環境を整備した。
結果書類処理の簡略化、帰店後の事務処理を効率化でき、営業スタッフの事務作業時間を年間2万1000時間削減することに成功。
データにリアルタイムにアクセスできるため、より顧客に寄り添った提案も可能にした。

Appleのタブレット端末「iPad」を導入し、電子サインとCRMシステムを活用して銀行の業務全体のDXを実現した事例です。

金融業でもペーパーレス

契約を行う場合、書類へのサインや押印が必要となりますが、それらの契約対応をデジタル化。ファンド運用などの提案から投資信託の約定続きなどもペーパーレスで行えるようになったそうです。

ユーザーが手軽に契約を締結できると同時に、銀行側の書類管理にかかる人的コストや時間コストの削減につながりました。

セールスに活かせる柔軟な顧客管理

どの顧客がどの契約をいつ行ったかというような顧客管理にかかる時間も、システムの連携により大幅に軽減されています。

効率的な顧客管理が実現できているため、顧客ひとりひとりのライフプランに合わせた商品の提案やアフターフォローなども可能。

削減された渉外営業スタッフの事務作業時間は、なんと年間2万1,000時間にもなるということです。

4.デジタルサイネージにAIを導入しユーザーに合わせた広告を配信

概要デジタルサイネージ(電子看板)と専用システムを導入して電車の乗客を分析。
電車が走っている地域や車両、乗客に合わせた広告映像の配信が可能に。
結果より効果的な広告の配信を実現。
ユーザーの体験価値向上にもつながっている。

電車内のデジタルサイネージ(電子看板)と専用システムを導入し、効果的な広告を自動的に配信する仕組みを構築。ユーザーの視線をもとに算出する「視聴率」などのデータも取得でき、より効果的・効率的な広告の配信を実現しています。

カメラとIoT機器で乗客を解析

車両の温度・湿度のほか、カメラなどを活用して乗客の性別や年代などを人工知能(AI)で解析。

その時々に効果的な広告を放送する仕組みを構築しています。

映画館の空席情報を流すなど、沿線施設への誘客も試みているそうです。

車両外の情報もリアルタイムに取得

LTE回線を使用することで車両外の情報を取得し、デジタルサイネージにて放送。ゲリラ豪雨、災害などの情報をユーザーに届けることができます。

地下を走る電車のため、天候変化を感じにくいユーザーの体験価値向上につながっていると言えるでしょう。

5.多くの手作業を自動化し、スタッフのリソースを新たな価値創出へ

概要非効率な業務が社内に蔓延している状況を受け、RPAツール(ロボットによる自動化ツール)を導入。
丁寧なヒアリングを行って自動化できるポイントを明確にし、業務の効率化を図った。
結果最も工数削減ができた業務では、月300時間もの削減に成功。
従業員のリソースを単純作業以外の業務に役立てることができた。

人材業でのDX事例です。スキル不要で運用できるRPAツールを導入することにより、月300時間以上の作業時間削減に成功。

スタッフのリソースを単純作業以外の業務に役立てているとのことです。

まずは自動化できるポイントを明確に

会社全体、現場ごとにヒアリングを行い現在人力で行っている作業や非効率な業務フローを明確化。

改善すべき課題をリストアップし、優先順位をつけることで、効率的に自動化を進めていきました。

将来的なことを考慮した上でのツール選び

ゆくゆくは、専門的な知識がない現場の人が使いこなせるよう、シンプルで使いやすいツールを選択。

システムとの相性や、予算も意識して導入を検討したとのことです。

複数の単純作業を自動化。DXにより新たな価値を生み出す

最も削減効果が高かったのは「コンタクト履歴入力業務」。情報登録催促メールを送信したアカウントに、送信日時を登録しステータスを更新するという作業です。

正しい顧客管理は効果的なSPにつながりますが、時には数百件以上のアカウントを扱うことも。1ヶ月に300時間を費やして作業していたと言います。

それらをすべて自動化することで、労働生産性を向上。現在では各部署から徐々に業務自動化の要望が集まっているとのことです。

セールスプロモーションをDXするときの6つのポイント

さまざまな業種・業態で進んでいるセールスプロモーション(SP)のDX。ここで、SPをDXする際に気をつけたい6つのポイントをお伝えします。

セールスプロモーションをDXするときの6つのポイント
  1. DXする目的を明確化する
  2. 目的を社内全体で共有する
  3. 工程の課題を再確認する
  4. 自社に合った方法でDXする
  5. 仮説と検証を繰り返す
  6. 得た情報は継続的に活用する

DXは、全社を上げて行うと言っても過言ではない改革です。失敗を避けるためにも、ポイントを押さえて計画する必要があります。

とくにDXする前に行っておきたい目的の明確化は、プロジェクトの方針を決めるだけでなく成功にも影響を及ぼします

より効果的にSPのDXを進めるためにも、ポイントを意識してみてください。

以下の記事では、各ポイントを詳しく解説しています。DXの成功に近づくヒントが見つかるはずなので、ぜひ参考にしてください。

セールスプロモーションをDXして業績アップを実現させよう!

<本記事のまとめ>

  • セールスプロモーション(SP)をDXすることでさまざまなデータが手に入りより効率的かつ効果的なSPを実現できる
  • SPのDXはすでにさまざまな業種業態で取り入れられ、効果を発揮している
  • ポイントをおさえて自社に合った方法でDXを進めていくことが大切

現代におけるセールスプロモーション(SP)は、データの活用が重要となっています。ユーザーに関するさまざまなデータを効率よく取得するためには、SPのDXが必須です。

CRMツールを始めとした、データ管理・分析ツールやマーケティングツールを取り入れることで、ユーザーのデータを取得し、活用することが可能になるでしょう。

データを活かすことは業務の効率化にもつながります。SPをDXして効率的かつ効果的にSPを行い、業績の向上を実現していきましょう。

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