Sカンは、店頭POPの吊り下げや商品の陳列など売り場づくりに欠かせない販促パーツです。活用シーンは多いものの、実は正しい使用方法を知らないまま活用されているケースがあります。
そこで本記事では「Sカンの正しい使い方」や「素材ごとの使い分け」について、お店づくりのプロが解説します。より魅力的な売り場をつくるためにも、ぜひご一読ください。
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Sカンとは
Sカンとは、金属やプラスチックでできたアルファベットのS字型のパーツです。形状は、上記画像のように2種類あります。
- 片閉じタイプ(Sカン):片方の先端が閉じている
- 両開きタイプ(S字フック):両方とも先端が開いている
広義では、片閉じタイプ(Sカン)両開きタイプ(S字フック)ともに、Sカンとして分類されます。片閉じタイプは、主に什器を吊り下げて陳列するときに使用します。
片方が閉じているため、紐が抜けず什器の落下を防止できる点が特徴です。一方、両開きタイプ(S字フック)は、S字フックそのものに商品を引っかけられます。
陳列棚にSカンを引っかけて商品を吊るしておけば、興味をもった来店客が簡単に手に取れるため、購買へスムーズにつなげられます。
Sカンは、陳列棚の両端(エンド棚)や柱などに簡単に引っかけられるため、そのままでは陳列が難しい売り場のデッドスペースを最大限に活用できる点がメリットです。
来店客が購入する商品と組み合わせて活用できる商品の購入を促す「クロスセル」や、消費者の動線に配慮した陳列をおこなう「MD(マーチャンダイジング)」などに役立ちます。
Sカンの素材
No. | 素材 | 使い方 |
---|---|---|
1 | 金属 | 紐を通してPOPなどを吊り下げる |
2 | プラスチック | ネット什器にはめて商品を吊り下げる |
3 | 再生紙 | 什器や商品を引っかける |
Sカンに使われる素材は、上記の3種類です。金属製のSカンは、頑丈で重いものをひっかけても変形しないため、大型のボードや什器などを吊り下げられます。
プラスチック製のSカンは、軽くて扱いやすいのが特徴です。プラスチック特有の柔軟性があるため、売り場では金属ネットにはめて什器や商品などを吊り下げるために使います。
また、再生紙でつくられたSカンもあります。厳密にはSカンに分類されませんが、什器や商品を引っかけて売り場づくりに役立つ販促パーツの1つです。
Sカンの正しい取り付け方7ステップ
ここで、上記画像の「ハンガー什器」へ、Sカン(片閉じタイプ)を取り付けるときの正しい手順を解説します。ハンガー什器へ取り付ける手順は、以下の7ステップです。
- 販促パーツを揃える
- 什器の穴に紐を通す
- Sカンに紐を通す
- 什器の反対側の穴へ紐を通す
- もう一度、Sカンと什器に紐を通す
- 紐を結ぶ
- 完成
では、順に解説します。
ステップ1. 販促パーツを揃える
取り付けに必要な販促パーツは、以下の3つです。
- ハンガー什器:1台
- Sカン(片閉じタイプ):1個
- 中唐打ち紐:1本
「中唐打ち紐(なかからうちひも)」とは、ツルツルとしたレーヨンの紐です。紐の太さはいろいろな種類があるので、吊り下げる什器や商品の重さに合わせて選びましょう。
ステップ2. 什器の穴に紐を通す
まず、ハンガー什器に紐を通します。紐は、ハンガー什器の裏側から表側へ通しましょう。
ステップ3. Sカンに紐を通す
【ここが重要】Sカンの向きを確認しよう! ・OK:開口部が右向き → 什器が自然と正面を向く ・NG:開口部 が左向き→ 紐がねじれてしまい、什器が裏返る |
次にSカンに紐を通します。ポイントはSカンの向きを確認することです。
左画像のように、Sカンの開いているほうが右を向いていることを確認し紐を通します。Sカンの向きを間違えて取り付けると、紐がねじれて什器が自転するからです。
什器が自転すれば、陳列しているうちにいつの間にか表裏が逆になってしまいます。特に什器や陳列する商品が軽いときは回転しやすいので、正しく取り付けられるようSカンの向きに注意しましょう。
ステップ4. 什器の反対側の穴に紐を通す
次は、紐を什器に通して吊り下げられるようにします。上記画像でいうと、まだ紐を通していない右側の穴です。
ハンガー什器の表側から裏側へ紐を通していきます。
ステップ5. もう一度、Sカンと什器に紐を通す
落下防止の対策として、Sカンから什器に再び紐を通します。紐は丈夫なものを使用しますが、長い間使ったり重い什器を吊り下げたりすると、思いがけず切れてしまうことがあります。
2重に通しておけば、万が一紐が切れたり抜けてしまった場合でも残りの1本で支えられるため安心です。落下して来店客や店舗スタッフがケガをしないためにも、ここで一手間かけておきましょう。
ステップ6. 紐を結ぶ
最後に紐を結びます。上記画像は、紐をくるりと回して端を引っ張るオーソドックスな結び方です。
Sカンを引っ掛ける陳列棚や金属ネットなどにあてて、什器の見え方や、商品の取りやすさを確認して紐の長さを調節します。紐があまりにも長いと来店客に引っかかったり、短いと来店客が商品に手が届かなくなったりするからです。
売り場の見た目だけでなく、人への安全にも配慮して長さを決めましょう。
ステップ7. 完成
以上で完成です。Sカンを正しく取り付けられると、上記画像のようにハンガー什器が自然と正面を向きます。
反対に、紐がねじれていたり吊り下げた商品が正面を向かなかったりする場合には、Sカンの取り付け方が間違っている可能性があります。
正しく取り付けて安全に使用するために、以下の3つを確認しましょう。
- Sカンの開口部がハンガー什器(正面)に対して後ろを向いているか?
- 什器が正面を向いたときに紐がよれていないか?
- 紐を2重に通しているか?
なお、一度取り付けをおこなえば、そのままの状態で持ち運びや保管が可能です。必要に応じていつでも活用できるよう、最初に正しく取り付けておきましょう。
【素材別】Sカンの使用例4選
Sカンは、素材によって向いてる用途があります。ここで、以下4つの素材別に活用例を紹介します。
- 金属:トップボードやチラシなどPOPの吊り下げ
- プラスチック(クリップ):商品やトップボードなどの吊り下げ
- プラスチック(ワイド):トップボードやカード類の連結
- 再生紙:商品や什器などの吊り下げ
それぞれ見ていきましょう。
素材1. 金属:トップボードやチラシなどPOPの吊り下げ
1つ目は、金属製のSカンです。丈夫で耐久性があるため、大きなPOPボードや重さのある什器などの吊り下げが可能です。
また、紐や上記画像のようなリング状の結束具などと組み合わせてPOP・チラシなどの吊り下げにも重宝します。キャンペーンの応募台紙や告知チラシなどを、陳列棚に引っかけることもできます。
素材2. プラスチック(クリップ):商品やトップボードなどの吊り下げ
軽くて扱いやすいのが、プラスチック製のSカンです。上記画像のように、金属ネットや什器などと組み合わせて活用します。
前述のとおり、プラスチックには特有の柔軟性があります。力を加えても多少の変形に耐えられるので、厚みのある金属ネットにSカンの閉じている部分をひっかければ、落下を防止できる点がメリットです。
また、プラスチックはさまざまなカラーが選べるのも魅力です。定番の白色からポップなものまで、什器や商品のイメージカラーと合わせれば、統一感が生まれて商品の魅力をより際立たせてくれます。
素材3. プラスチック(ワイド):トップボードやカード類の連結
プラスチックのSカンには、幅が広いタイプがあります。細いSカンに比べて幅が広く挟む力が強いため、重さのある販促ボードの固定や厚紙の連結におすすめです。
エアコンの風などで飛びやすいカードやボード状の販促物も、風の影響を受けずに陳列品が安定するので、場所を選ばず陳列できるようになります。
素材4. 再生紙:商品や什器などの吊り下げ
4つ目の紹介は、再生紙でできたフックです。紙製でありながら厚さは2mmあり、6kgまでの重さに耐えられるものがあります。
もちろん、販促パーツのメーカーによって強度が異なるので、事前に確認が必要です。また、下記のようにSカンからハンガー什器まで、すべてが再生紙でできているセットアイテムもあります。
陳列に必要なパーツがすべて揃っており、簡単に組み立てるだけですぐに使えます。封筒で送付できるほどコンパクトなので、輸送コストの削減にも有効です。
また、プラスチックを一切使用していないため、燃えるゴミとして廃棄できる点も特徴です。環境にやさしいだけでなく、輸送コストにも配慮した売場づくりを目指しているのであれば、まずは以下からご覧ください。
Sカンの正しい活用方法を知って売り場づくりをしよう
Sカンを什器に正しく取り付けるためには、Sカンの向きを確認することが重要です。取り付けた後は、正しい取り付け方で安全に陳列できるか確認するために以下の3点をチェックしましょう。
- Sカンの開口部がハンガー什器(正面)に対して後ろを向いているか?
- 什器が正面を向いたときに紐がよれていないか?
- 紐を2重に通しているか?
またSカンは、什器やPOPボードの吊り下げなど、店頭の売場づくりに有効な販促パーツです。素材や色・長さなど、種類はいろいろあるので用途によって使い分けましょう。
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