印刷物の表面加工には、さまざまな種類があります。工夫した印刷で狙った効果を得るためには、目的に合った表面加工を選ぶことが重要です。
本記事では、印刷でよく活用される表面加工について紹介します。印刷物をイメージどおりに仕上げるためにも、ぜひ参考にしてください。
印刷の表面加工でよく活用される6つの種類
No. | 種類 | 概要 |
---|---|---|
1 | 表面グロスPP貼り加工 | 印刷物の表面に光沢のあるポリプロピレン(PP)を貼る加工 |
2 | 表面マットPP貼り加工 | 印刷物の表面にポリプロピレンを貼り、光沢を抑えマットな仕上がりにする加工 |
3 | 表面ニス引き加工 | 印刷の上に樹脂製の液体(ニス)を塗布する加工 |
4 | パウチ加工 | 印刷物を両面からフィルムではさみ込み熱圧着する加工 |
5 | ホログラムラミネート加工 | 表面にホログラムを施した透明なフィルムを圧着する加工 |
番外 | インラインホイル(インラインフォイル) | 糊を使って箔を印刷し、ニスを使い疑似エンボスを施す加工 |
印刷の表面加工でよく活用される種類には、上記の6つがあります。それぞれの特徴・活用例を見ていきましょう。
種類1. 表面グロスPP貼り加工
特徴 | ・印刷面の耐久性 ・耐湿性がアップする ・光沢が出るため高級感を出せる ・写真やイラストが映える |
活用例 | ・商品POP ・パンフレット ・カタログ ・ポスター |
表面グロスPP貼り加工は、印刷物の表面に光沢のあるポリプロピレン(PP)を貼る加工です。ポリプロピレンは、プラスチック素材の1つで、強度があり耐薬品性に優れている素材です。
耐湿性があるものの、加工を施すのはあくまで表面のみなので、紙の内部へは浸水します。一方、写真やイラストが映えることから、パンフレットやカタログの印刷などに適しています。
仕上がりイメージは、透明なセロハンテープを印刷物に貼ることで、簡易的に確認が可能です。
種類2. 表面マットPP貼り加工
特徴 | ・印刷面の耐久性や耐湿性がアップする ・光沢感を抑えた見た目、サラサラとした手触りで上品な印象になる ・価格がグロスPP加工に比べて高め |
活用例 | ・パンフレット ・カタログ ・高級品のパッケージや紙袋 |
印刷物の表面にポリプロピレン(PP)を貼り、光沢を抑えてマットな仕上がりにする加工が、表面マットPP貼り加工です。高級感のある落ち着いた印象を演出できるため、高級品のパッケージや紙袋の印刷などで活用されます。
加工方法は「表面グロスPP貼り加工」と同じで、印刷物の表面にポリプロピレンを貼ります。表面グロスPP貼り加工と同様に耐久性が高い反面、キズがつくと目立ちやすい点がデメリットです。
種類3. 表面ニス引き加工
特徴 | ・印刷物の表面を保護できる ・光沢を出せるので、高級感を演出できる ・PP加工ほどの撥水性・耐久性などはない |
活用例 | ・チラシ ・パンフレット ・カタログ ・ポスター ・紙袋 |
表面ニス引き加工は、印刷の上に樹脂製の液体(ニス)を塗布する加工です。下記のように、いくつか種類があります。
- グロス(光沢)ニス:より光沢を出す加工
- マットニス :ツヤを抑えて落ち着いたイメージに仕上げる加工
ニス引き加工とPP(ポリプロピレン)加工を比べると、コーティング力や撥水性・耐久性が劣ります。ですが、紙の質感を損なわないため、印刷物の表面を保護したい場合におすすめです。
また、印刷と表面加工を同時におこなえるため、コストを抑えられることもメリットです。
種類4. パウチ加工
特徴 | ・印刷物を密封できるため、防水効果が期待できる ・厚みが出るので強度が増す ・四方に透明な余白(圧着部分のフィルム)ができる |
活用例 | ・商品POP ・ポイントカード ・飲食店のメニュー ・写真の保護 |
印刷物を両面からフィルムではさみ熱圧着する加工が、パウチ加工です。パウチ(pouch)には、包み込む・小袋という意味があります。
パウチ加工で使用される素材は、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate)というプラスチック素材が一般的です。印刷物を密封するため、高い防水性があります。
ただ、四方に透明な余白(圧着部分のフィルム)ができるため、実際の印刷物よりサイズが大きくなります。汚れに強く強度があり、飲食店のメニュー表やポイントカードなどでよく活用される表面加工です。
種類5. ホログラムラミネート加工
特徴 | ・印刷面の耐久性や耐湿性がアップする ・透明なフィルムを貼るため、デザインを損なわず質感を変えられる ・光の輝きと華やかさで、より印象付けられる |
活用例 | ・名刺 ・カード ・ステッカー ・販促POP ・パッケージ ・クリアファイル |
ホログラムラミネート加工では、角度によって見える図柄が変化する「ホログラム」を施した透明なフィルムを圧着します。ホログラムは、キラキラと虹色に光るため、華やかで幻想的な印象が特徴です。
表面にフィルムを貼ることで、印刷物の強度をアップできます。輝きを活かし、個性を出したい名刺や人を惹きつけたい販促POPなどにも適しています。
ただ、コストがアップしやすいので、事前に確認しておくことがおすすめです。
【番外】インラインホイル(インラインフォイル)
特徴 | ・糊を使って箔を印刷する加工 ・通常の印刷と箔を同時におこなえる ・箔の上にカラー印刷できるため、メタリックな色合いを表現できる |
活用例 | ・ゲームソフト ・たばこなどの商品パッケージ ・カタログ ・パンフレット ・スタンプカード ・トレーディングカード ・販促POP ・チケット |
インラインホイルは、糊(のり)を使って箔を印刷する加工方法です。グラデーションや微細な線・文字などを表現できる精度の高さが特徴です。
従来の箔押しは、熱と圧力で箔を転写していたため、細かな文字や図柄がつぶれやすいデメリットがあります。一方、インラインホイルでは、糊を使う糊を使うため幅広い印刷物へ箔を活用できます。
トレーディングカードやたばこなどの商品パッケージのように、印象付けたい印刷物におすすめです。
目的に合った表面加工を取り入れて印刷物を製作しよう
印刷物の表面加工には、さまざまな種類が存在します。種類によって風合いや強度などが異なるため、各加工の特徴を把握することは重要です。
印刷物をイメージに近づけるためにも、目的に合わせて選びましょう。
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