印刷物を製作するなら、DTPでのデータ入稿での依頼がおすすめです。一方で基礎知識が必要なため、戸惑うことがあると思います。
本記事では、データ入稿時のチェックポイントをまとめました。データ入稿でよくある失敗を防ぐためにも、ぜひ参考にしてください。
Contents
印刷物はDTPデータ入稿がおすすめ
DTPとは | ・印刷物の製作に必要なデータをPCで作成すること ・Desktop Publishing(デスクトップパブリッシング)の略称 ・日本語では机上出版・卓上出版を意味する |
メリット | ・印刷物の製作に必要な作業をPC一つでおこなえる |
デメリット | ・専門的な知識が必要 |
冒頭でお伝えしたとおり、印刷物はDTPでのデータ入稿がおすすめです。DTPが普及する前、印刷物が仕上がるまでに必要な作業は、各工程の専門家が担っていたことがありました。
かつて各専門家が担当した工程を、PC一つでおこなえるようになった仕組みがDTPです。DTPの作業には、以下のようなデータ作成ソフトを使用します。
種類 | 概要 |
---|---|
QuarkXPress (クォークエクスプレス) | 印刷業界で最も広まっているレイアウトソフト |
Adobe InDesign (アドビ インデザイン) | ページ数の多い冊子や書籍のレイアウトデザインに主に使うレイアウトソフト |
Adobe Photoshop (アドビ フォトショップ) | 写真を加工するソフト |
Adobe Illustrator (アドビ イラストレーター) | イラストやグラフ・図などを描くソフト |
Adobe Acrobat (アドビ アクロバット) | いろいろなソフトでつくられたデータをPDFに変換するソフト |
例えば、下記のように目的に応じて使い分けることが一般的です。
- 写真の加工なら、Adobe Photoshop
- イラストや図の作成なら、Adobe Illustrator
専門ツールを使うため、ある程度の知識が求められます。
データ入稿時のチェックポイント
データ入稿時のチェックポイント例 |
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・データは仕上がりサイズにする ・不要なレイヤー ・オブジェクトを削除する ・不要なスウォッチ ・スポットカラーは削除する ・画像の拡大縮小率は70~130%内で配置 ・K100%以外のオーバープリントは設定しない ・3mm以上の塗り足しを想定する ・冊子のページ番号が正しく配置されているか確認する ・日付・曜日などの整合性を確認する ・QRコードなどの読込みができるか確認をしておく |
上記がデータ入稿時のチェックポイント例です。基本的に、データは仕上がりサイズで入稿します。
もし仕上がりサイズいっぱいに背景や画像を配置したい場合には、仕上がりサイズより3mm以上外側に「塗り足しライン」を設定しましょう。塗り足しを想定することで、もし断裁のズレがあってもある程度の対応ができます。
イメージどおり仕上げるためには、他にもポイントを押さえなければなりません。データ入稿に慣れていない方へ向けて、印刷会社ではサポートを用意していることがあります。
失敗を防ぐためにも、少しでも不安があれば事前に相談してみましょう。
データ入稿時に指定する色の表現方法は2つ
ここで、データ入稿時に指定する2つの色の表現方法について、簡単に解説します。
1.CMYK 2.特色印刷 |
では、1つずつ解説します。
方法1.CMYK
CMYK | Cyan(シアン)Magenta(マゼンタ)Yellow(イエロー)の3色と、Key plate(キープレート)を混ぜ合わせる方式 |
RBG | Red(レッド)Green(グリーン)Blue(ブルー)の3色を混ぜ合わせる方式 |
色表現の方式には上記の2種類があります。一般的に、紙のカラー印刷には「CMYK」を使用します。
CMYKは、混ぜるほど暗い色へと変化していくため「減法混合」「減法混色」と呼ばれています。一方でRBGは、テレビやパソコンの液晶モニターで使用する方式です。
混ぜるほど明るい色へと変化していくため「加法混色」と呼ばれています。なお、CMYKとRGBとの違いは色の再現領域です。
RBGでは再現できる色がCMYKだと再現できない場合があります。その結果、PCのモニター上ではキレイに見えても、実際の印刷物ではくすんで見えてしまい、イメージとは違う仕上がりになります。
以上により、印刷用データはRGBではなくCMYKフルカラーで作成するのがおすすめです。
方法2.特色印刷
フルカラー(CMYK)印刷 | 特色印刷 |
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金や銀などのメタリックカラーや蛍光色が印刷できない | メタリックカラーや蛍光色にも対応できる |
色の仕上がりにばらつきが出ることもある | 先にインクを調合するため、色の仕上がりが安定しやすい |
上記のように、CMYKフルカラーで表現できない色があります。CMYKフルカラーで表現できない色で印刷したいときに便利なのが、特色印刷です。
特色印刷は、PANTONEやDICなどの特色メーカーの色見本帳から希望する色を指定します。
PANTONE(パントーン) | アメリカ合衆国のPantone社が開発した世界共通の色見本帳 |
DIC(ディック) | 印刷インキや顔料などを製造する化学メーカー「DIC株式会社」が出版する色見本帳 |
指定した見本にあわせて、印刷前にインクを調合するため、調合した色以外は印刷ができません(濃度0%~100%の調整は可能)。ただ、前述のとおりCMYKフルカラーのデメリットを補えるメリットがあり、ワンランク上の仕上がりにしたいときにおすすめです。
また、特色印刷はインクを調合してから印刷をおこなうため、CMYKフルカラーと比較して色が安定しやすい点も特徴です。
イメージどおりの印刷物を製作できる入稿データを用意しよう
イメージどおりに印刷物を製作するなら、データ入稿がおすすめです。DTPは印刷物の製作に必要な作業をPC一つでおこなえるため、発注作業の効率化にも役立ちます。
しかし、データ入稿する際は専門的な知識が必要です。印刷の製作で失敗を防ぐためにも、ポイントを押さえておきましょう。
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